2012年Google Analyticsサミット報告

日付:
2012/11/5
カテゴリ:
Googleアナリティクスイベントレポート
ライター:
安川洋

先週米国時間10月29日から30日の2日間にかけて、マウンテンビューにあるComputer History MusiumにてGoogle Analyticsのサミットが開催され、GACP(Google Analytics認定パートナー)として参加してきましたので、簡単に報告します。
概要に関しては公式ブログの記事をご覧ください。

アユダンテがサミットに参加するのは2012年の今年で3回目。
今まではGACPのみが参加するイベントでしたが、今年よりGoogle Analytics Premiumのお客様もご参加いただけるようになりました。パートナーのみならず主要顧客にも、毎年最新情報を直接エンジニアから届ける、Googleらしい試みと言えます。本記事の執筆時点ではまだGoogle Analytics Premiumが日本ではローンチしていませんので、日本のプレミアムのお客様はいらっしゃいませんでした。来年には!?

なお今回のサミットでは、1日目の10月29日が公開可能なリリースとなっており、2日目の内容はすべてNDA下で提供されたので、本記事には1日目までの内容までしか含んでいません。

会場での安川の記念写真。

【ユニバーサル・アナリティクス】

今回のサミットの目玉はこちら、Google Analyticsのアーキテクチャ変更です。
今までなんでこうなっていなかったんだっけ、、とも思えるくらい当然の、しかし非常に大きな変更になります。

ユニバーサル・アナリティクスは次に説明する4つのテクノロジーをまとめたものと言えますが、中心にあるのはトラッキング方法の変更。
今まではクライアントサイドのJavaScript、またはガラケーの場合はお客様のサーバーにあるコードがユーザーやセッションを識別していましたが、それらがすべてGoogle Analyticsのサーバーサイドに移行しました。これにより、クライアント側ではスニペットもAPIも変更になりますが、もちろん旧トラッキングコード(もう「旧」になってしまうのか、、)も並行稼働させることが保証されるのでご安心ください。

ユニバーサル・アナリティクスでは、クライアントからGoogle Analyticsサーバーに送信するのは相変わらずGIFリクエストの形式を取りますが、実際にトラッキングのために送信されるのはユーザーを識別するIDのみ。セッションの識別やキャンペーン、カスタム変数などはクライアントサイドのCookieではなく、すべてサーバー側に保持されます。
この「ユーザー」という概念を導入することにより、PC/モバイル/タブレット/など複数デバイスをまたがったセッションの解析、オフラインコンバージョンの計測、CRM連携分析が可能になったのです。

1. Simple Open Measurement Protocol

※デベロッパー・プレビュー。リリース日未定

ユニバーサル・アナリティクスの最初の技術は新開発のトラッキング方式です。
Cookieは今までの5つから、ユーザーを示すたった1つに、Cookieのサイズも82%に削減されました。APIはすべて新規となりますが、analytics.js(通常のWebサイト用のJavaScriptトラッキングAPI)、Android SDK、iOS SDKが標準で提供されるほか、Java、C#/Win8/RT、PHP、Flash、Pythonなどのオープンソースライブラリも提供されるため、オフラインやCRMなどのプラットフォームとの連携も容易になります。

2. User ID Control

※限定パイロット。リリースは6-9か月先を予定

二番目はユーザーIDにより複数デバイスをまたがった分析を実現する技術です。
一人の人がPCブラウザやスマホ、タブレットなどを使い分けることは日常的になりつつありますが、今までのトラッキング技術では測定は不可能でした。今後のGoogle Analyticsで提供される仕組みと自社での少しの開発により、これら複数デバイスでの行動が一人の人によって行われたということを認識できるようになります。

例:
  1. 朝、iPadからある会社のメールマガジンをGmailを見てクリック、サイトにアクセスしてログインしてページを表示
  2. 夕方、PCからダイレクトにアクセスして再度ログインしてページを表示、購入完了

この場合、1ユーザー、2セッション、1トランザクション、参照元はメールマガジンになります。

ユニバーサル・アナリティクスにおいては、何のカスタマイズもない場合、匿名のクライアントIDが、今までの__utmaと同様に各クライアントに割り振られます。このままでは、デバイスごとに異なるクライアントIDが使われてしまいます。そこで、プロセスの途中でサイトにログインさせたり、別のパーマネントCookieを使用してそのユーザーのIDを記録しておくことにより、Google Analyticsに独自のユーザーIDを送信します。すると、Google Analyticsは匿名クライアントIDとユーザーIDを紐づけて処理し、異なるデバイスでのアクセスが同一人物によるものであると自動的に判定します。

スマホ広告やソーシャルメディアなど「コンバージョンに間接的な影響を与えるメディア」の効果測定や、逆にコンバージョン時点で使われやすいタブレットの利用形態の分析などにも力を発揮するのではないでしょうか?

3. Offline Conversions

※特にリリース日の言及はなかったが、おそらく1と同時期?

三番目は、オンラインではなく、実店舗への来店や購入、コールセンターへのコンタクトなど、今まではコンバージョンとして計測できなかった成果をGoogle Analyticsで測定できるようにする技術です。
URLへのアクセスやイベントの発生以外に、APIにてコンバージョンを発生させることができ、またその際に前述の独自ユーザーIDを使用することで、どのユーザーがコンバージョンを達成したのか判別することができます。

例えばオンラインで車のカタログ請求をして、メールアドレスを入力してもらったとしましょう。
店頭での車の試乗時にメールアドレスを記入してもらうようにし、試乗システムからメールアドレスを暗号化してGoogle Analyticsに送信するようにシステムを開発すれば、オンラインでのカタログ請求が実際の試乗に結びついたということが判断できます。カタログ請求のキャンペーンを複数行っていれば、どのキャンペーンが最も効果的に試乗に結びついたか、そして実際に車の販売金額が大きかったキャンペーンはどれか、というところまで、分析の首尾一貫性を上げることができます。

4. Dimension Import & Joining

※2013年の1-3月リリース予定

最後はディメンションに関する二つの大きな拡張機能の発表。
一つはカスタムディメンションという機能で、現行のカスタム変数と同様の使い方ができるものですが、通常のプライマリディメンションと同じように利用できるのです。

Google Analyticsにおけるディメンションとは、データを表型で分析する際に、左側に表示する「軸」に当たるもので、例えばキーワードごとの流入数であればキーワードがディメンション、ページごとのPV数であればページのURLがディメンションとなります。逆に上側に表示される指標はメトリックと呼びます。
このディメンションは今まで各分析画面ごとに固定されていたのですが、これをカスタマイズできるようになります。CRMと連携すれば、例えば昨年の購入金額合計が0円、1万円未満、10万円未満、10万円以上、のユーザー層ごとに分析を行うことができます。管理画面も用意されます。

もう一つの機能はディメンションワイドニングと呼ばれる機能で、上に出てきた独自ユーザーIDとそのユーザーの属性情報をあらかじめ送信しておくことにより、家族が何人いるか・性別・学歴などの情報に基づいてデータを分析できるようになります。
ディメンションワイドニングを使わなくても、APIでカスタムディメンションを送信すればユーザー属性をセッションに紐づけることはできますが、ディメンションワイドニングにより、ユーザーIDにあらかじめ顧客情報が紐づいているので、都度APIで属性情報を送信しなくても、Google Analyticsの分析画面内で、顧客属性をプライマリディメンションやセカンダリディメンションとして利用できます。

その他にも多くの機能が発表されました。簡単に箇条書きでご紹介したいと思います。

  • アトリビューションモデリングが公開ホワイトリストに。
    今まではプレミアムのお客様のみがご利用いただける機能でした。複数のセッションにまたがってコンバージョンが達成された場合に、各チャネルの貢献度の重みづけをカスタマイズし、貢献度の高かったチャネルを分析するツールです。
  • マルチチャネルのルックバックウィンドウが最大90日間、かつ期間のカスタマイズが可能に。
    コンバージョンまで1-2週間程度の比較的短い期間を持つWebサイトの分析がより容易にできるようになります。
  • マルチチャネル分析にAdWordsコストデータが自動的にインポートされるように。
    また、任意のマーケティングチャネルのコストデータをアップロード可能に。
    AdWords、Yahoo!リスティング、自社で行っているメールマガジン、他社のディスプレイ広告、アフィリエイトなどのコストを過去分も含めてアップロードできますので、すべてのチャネルを流入・コストの両面から比較分析できるようになります。
  • キャンペーン管理機能。
    utm_source, utm_medium, utm_campaignの組み合わせではなく、utm_idの一つのIDだけでキャンペーンを認識、管理できるようになります。
  • データドリブンモデル、という新しい(!?)アトリビューションモデルが用意。
    これはあらかじめ加重比率を決めておくのではなく、実際のマルチチャネルでのコンバージョンデータに基づいて自動的にアトリビューション配分を決めていくものだそう。
  • ユニファイドセグメンテーション。
    アドバンスセグメントはセッション単位のセグメントが可能でしたが、ユニファイドセグメンテーションではそれをユーザー単位に。
  • RFM, CLV分析。
    Google Storeでの分析の例では、1回しかコンバージョンしたことのないユーザーのセグメントと、2回以上コンバージョンしたことのあるユーザーのセグメントを比較すると、後者のほうがずっとユーザー数は少ないにも関わらず、ずっと多くの合計レベニューを生み出していることが分かったそう。

各機能のリリース予定スライド。
各機能のリリース予定スライド。

以上、盛りだくさんのサミットでしたが、期待されていたデータウェアハウス的な機能は発表されず、実際のマーケティング現場において、特別なデータサイエンティストを必要とせず、一般のマーケッターがセルフサービスで使える方向での発表が多かったことが印象に残りました。
巷ではビッグデータブームでデータを何でもかんでもウェアハウス化するのが流行っているのかもしれませんが、データサイエンティストがいないと分析できないDWHはスピードの速いWebには向くのか!? と少し疑問に感じているので、今後のGAには大いに期待します。